この窯があるのは、
三重県四日市市小杉町天水(てんず)。
水、そして土、火という
天の恵みをもとにして
やきものに向き合う私たちにとって、
この地名は
まさに神聖なものであり、
運命的と言えます。

萬古焼×クラフトで
広げる独自の世界。

一九六四年、先代・稲垣太津男が
この地に興した天水窯のやきものは
伝統工芸「萬古焼」をベースにしながら
クラフトの精神を宿しているのが特徴。
あくなき技への探究と、
自由な発想を大切に
土、そして手仕事のぬくもりを
ひとつひとつに込めて
作陶を続けています。

世界、そして海から得た
イメージをかたちに。

天水窯を継承する稲垣竜一は
若かりし頃に海外各地を旅し、
さまざまな陶芸家、芸術家との親交を深め
作陶への着想や新たな技術を吸収してきました。
また、長年親しんでいるサーフィンを通し
海や大自然の美からも着想を得て
さらなる表現の世界を広げています。

陶   歴

稲垣 太津男

1935年
愛知県常滑市に生まれる
1954年
愛知県常滑高等学校窯業科卒業
陶磁器デザイナー日根野作三氏に師事
デザインを勉強す
以後、美濃、京都にて陶技を磨く
京都では河島浩三氏に師事
現代日本陶芸展に入選
京都クラフト、デザイン展に入選
日本陶磁器デザインコンクール入賞6回
内2席入賞2回
創造美術会展会員賞受賞
名古屋丸栄スカイルに於て個展12回
三越(池袋)・東急(日本橋)に於て個展を開く
高島屋(日本橋)クリエイティブ工房に於て器展
◆1983年
四日市市小杉町へ「天水窯」築窯
1994年
松坂屋四日市店に於て 築窯 30周年展発表
◆1996年
東海の現代陶芸 出品
◆1997年
三重の作家たち展 出品
◆2001年
イギリス、ペンリス陶芸祭に参加
◆2002年
近鉄四日市店に於て作陶
45周年展発表
◆2003年
日英陶芸祭IN四日市展 出品
工芸家の大正・昭和・平成展 出品
平成14年度四日市陶芸協会 会長
◆2004年
三重のやきもの展 第10回記念展 出品(招待)
東京・神奈川・静岡・福井にて個展を開く
平成15年度四日市陶芸協会 会長
◆2015年
作品集「稲垣太津男の仕事」発刊
享年82歳

稲垣 竜一

◆1967年
三重県四日市市に生まれる
◆1989年
大阪芸術大学 工芸学科陶芸専攻 卒業 
山田光氏に師事
有限会社三位陶苑、天水窯にて作陶生活に入る
父 稲垣太津男に陶芸の技術、作り手の姿勢を学ぶ
森正氏に土の個性と陶芸の自由について学ぶ
尾高創房村に薪窯築炉従事
◆1990年
一年間12か国を廻り各地の作家と交流し世界の陶芸を学ぶ
オーストラリア、インドネシア、タイ、マレーシア、
ベトナム、ラオス、インド、スリランカ、イギリス、
アイルランド、フランス、アメリカなど
個展、グループ展を始める 
以降各地の百貨店、ギャラリーにて個展、グループ展
◆1993年
アメリカ ロスアンゼルスにて 
ユミ キヨセ氏に師事し製作発表
◆2001年・2002年
イギリス ペンリスにて「potfest」参加
◆2012年
三重の作家たち展 運営委員
◆2013年~2018年
萬古陶磁器工業協同組合主催(経済産業省、三重県、四日市市、菰野町、岡田文化財団が支援)の四日市萬古焼後継者育成事業
「やきものたまご創生塾」の講師に6年間就任
◆2015年
臨床美術士5級取得
◆2016年

伊勢志摩サミット2016
配偶者プログラム昼食会に使用するワインカップを制作
◆2016年・2017年
桑名市民展 審査員
◆2018年・2019年
四日市大学コミュニティカレッジ 教養講座 陶芸講師
◆2019年
津市美術展覧会 審査員
◆2019年〜
四日市市美術展覧会 運営委員
◆2021年
三重県美術展 審査員

  • 第3回国際陶磁器展美濃、朝日陶芸展、朝日現代クラフト展

  • 信楽陶芸展、長三賞陶芸展、東海伝統工芸展 等 入選

  • 三重県美術展 優秀賞、四日市市美術展覧会 市長賞など

銅釉の「彩」のこと
銅を用いた釉薬は、酸化させれば青が、還元させれば赤が現れます。さらに成分の調合、焼成条件などで色は無限に。天水窯の特徴である独特な発色は、こうした工程すべてに試行錯誤を幾度も繰り返す中で生まれたもの。技とこだわりを凝らした複雑な彩は、年月の経過とともにさらに味わいを増します。ぜひ手にとってその魅力をお確かめください。

つなぐ「未来」のこと
先代・稲垣太津男の精神を受け継ぐ稲垣竜一は、次世代の担い手の育成にも取り組み、2013年から2018年まで「やきものたまご創生塾」(萬古陶磁器工業協同組合)にて若手の指導にあたりました。また、三重の作家たちとともに東日本大震災で失われた祈りの対象物を500体制作する活動などにも参加。やきものの魂を未来につなげる取り組みにも情熱を傾けています。

四日市「磁器」のこと
四日市では地場産業の振興に向けて、陶器にとどまらず、地元の土の特徴を生かした「磁器」の開発にも取り組んでいます。近隣にある三重県工業研究所窯業研究室の調査研究の結果、陶器と同じ1100℃前後で焼成が可能、一般的な磁器よりも耐酸性が高い四日市の磁器が誕生しました。天水窯も猫をかたどった「ねこっぷ」を制作。そのデザイン性に加え、機能性にも注目が集まっています。

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